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Dream Theater / DREAM THEATER
帰ってきたクーカイ ★★★ (2013-10-05 01:15:24)
 正直なところ、このタイミングで本作のようなアルバムが発表されたことに、大変驚いている。
 本作については、もうこれは絶賛せざるをえない。
 近年、私はこのバンドに対しどちらかというと批判的な立場で接してきた。それはドラマーの脱退とは全く無関係で、冗長な楽曲群が型にはまって聴こえ、退屈だったからに他ならない(「だったら聴くなよ」という声が聴こえそうですね。でも、一度は惚れたバンドなので・・・)。良い例えではないが、積極的に別れを切り出すタイミングを逸したまま、ずるずると続いている交際みたいなものか・・・。
 故に、本作が“ここ数作における、いつものドリムシ定食”だったら、もうアルバムを購入することは金輪際しないつもりでいた。
 ところがどっこい。1st・2ndの頃を思い出させる充実作。なんだ、やれば出来るじゃん。
 本作で最も評価したいのは、コンパクトな楽曲を目指した点である。各曲の聴きどころが、これまでになく明確になっている(いや、1stの頃は、こんな感じだったんですよ)。
 ストレートに格好良いリフと、キャッチーなヴォーカルメロディが印象的な3曲目「THE LOOKING GLASS」は名曲だろう。4曲目のインスト(「ENIGMA MACHINE」)も聴いていてゾクゾクする。このバンドの曲を聴いてスリリングな気分を味わうのは、本当に久しぶりだ。9曲目の組曲(「ILLUMINATION THEORY」)は、オケだけのパートがあるとは・・・。組曲でなければならない必然に満ちた、感動の一曲だ。
 強いて言うなら、5~8曲目の中に、途中で思いっきりベタなバラードか、逆に超へヴィ(もしくはファスト)な曲が入っていたら、アルバムの構成がもっと起伏に富んだものになったと思うが、まぁ、それは贅沢ってものだろう。
 短い曲、長い曲、組曲。これまでに獲得した手札を惜しげもなく並べた本作は、まさにセルフタイトルにふさわしい充実の、そして渾身の一作だ。「お見事!」と言うしかない。

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