この曲を聴け!
Daumyra / ISVIND
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2013-12-23 10:55:47)
2013年発表の3rd。
まあ、このバンドが作風を変える筈もなく…(笑)。期待通り、いや期待以上の、90年代ノルウェー産ブラックの空気を引き摺った、芯まで真っ黒いブラックを聴かせてくれます。近代的なヘヴィネスだとか、圧倒的なスピードだとか、ノイズへの接近やミニマリズムだとか…のような、ブラックの核心ではない要素には決して頼らない、ブラックメタルである事を追及したような、職人的ブラックメタル。
なんというか、こういうオールドスクールで衒いのないブラックを演ってるバンドは数あれど、このバンドの音は説得力が違うという感じがするんですよね。例えば、ヘイト全開で噛み潰すようなヴォーカルもそうだし、メロウながらヒリヒリとした質感のトレモロ、そのヒリついた緊張感を強調する、音圧がありつつ粗めの音質など、ブラックの魅力を知り尽くしてる人が演っている感じ。
オールドスクールなリズムやミディアムパートを絡めた展開も上手く、獲物を狙うようなスラッシーなパートでテンションを上げつつ、ブラストに雪崩れ込む展開なんかはゾクゾクきますね…。北欧ブラック特有の土着的な邪悪ムードも色濃く、バンドサウンドのみによる硬派な音作りながら、キーボード満載のアトモスフェリック系に負けないくらいムードのある音だと思う。
また、ブラストを軸としたファストパート多めの展開ながら、速さだけでなく、どこか人間味のあるグルーヴも感じさせるドラミングも素晴らしい。ブラストパートにおける、雪崩が押し寄せるような迫力や、スラッシーなパートにおける血が滾るような熱さなどは、このドラミングが貢献しているのも大きいのではないでしょうか。
「こういう音」を期待して購入した訳ですが、見事に期待以上のものを返してくれましたね…ほんと、とにかくかっこいいです。凶悪な音ですが、普段からブラックを聴いてる人なら、聴いていて自分のあるべき場所へ帰ったような安らぎを感じるかもしれません(笑)。それくらい「ただブラックメタルしている」音。もしブラック愛好家以外で、この音がモダンな音より良く思えるなら…そろそろ、ブラックにハマる準備をした方がいいかもしれません(笑)。
→同意