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Possession / CRYSTAL VIPER
火薬バカ一代 ★★ (2014-03-19 22:53:16)
映画『エクソシスト』を思わせるコンセプト・アルバムということで、パワー・メタル然とした突撃感覚よりも、緩急やドラマティックな曲展開といった、全体の整合性を重視した'14年発表の5th。
同じくコンセプト作だった前作のスタイルを継承しているわけですが、ことサウンドの疾走感に関してはかなり回復基調にあり、何よりも聴く者のメタル魂を震わせ、「彼女が歌えばどんなタイプだろうとも、それがCRYSTAL VIPERの楽曲になる」とさえ思わせてくれる、マルタ・ガブリエル(Vo)のヒロイックな歌唱が、流石の存在感で本編をビシッと引き締めてくれています。
東欧調のどこか物悲しい旋律が、時に叙情的に、時にパワフルに疾駆する③、勇ましくもキャッチーな④、メロディ・センスが際立つ重厚なミッド・チューン⑥⑧等、CRYSTAL VIPERが安心と信頼のパワー・メタル・ブランドであることを証明する秀曲を多数収録。加えて今回は故マーク・リアリに捧げるべく、RIOTの名曲“THUNDERSTEEL”をカヴァー。マルタ姐さんの趣味の良さは相変わらず冴えていますよ。
まぁ「怯えるヒロイン」を演じるには彼女の歌唱は少々逞し過ぎる気がしなくもないですし(笑)、音楽性に比して重厚さに欠ける音作りや、ラストのドンデン返しが笑撃的過ぎる、トンデモ系映画に通じるストーリー展開は評価が割れるところかも知れませんが。
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