この曲を聴け! 

Vermin Race / PARIA
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2014-05-14 18:43:03)
2009年発表の1st。
…これはまた良いバンドを見つけてしまいました。

分類としてはアヴァンギャルド・ブラックになるのでしょうか。地下ブラック特有の、密教的な湿り気を感じさせる邪悪なムード、疾走パートにおける前のめりな暴虐性を身上としながらも、変化に富んだリズムで聴き手を常に幻惑するような、禍々しくも前衛的なブラックで、特にこのドラミングがたまらなくかっこいいんですよね。

聴き手に意識を反らさないことを強制するようなリズム構成は、身の置き場の無さを感じさせ、良い意味で気持ち悪くもかっこいいんですが、疾走パートの素晴らしさには更に舌を巻くばかり。一見オールドスクールな疾走をしていても、意識の外を突いて繰り出されるボディブローのようにバスドラのフレーズを仕込んできたり、ドラムセットをしばき倒すような、速さだけでなく勢いを感じさせるブラストなども実に爽快。

ギターパートもドラミングに対応してか、しっかり「毒」の効いたフレーズを聴かせてくれてますね。アルバム導入部のギター・ベースの絡みなんかは実に淫靡。ノイジーさを伴うリフ捌きも、抽象的で正体を掴めない様なミステリアスさを感じさせてグッド。ヴォーカルは時々感情が入りすぎていて素っ頓狂な裏返り声になったりしてますが(笑)、基本的にドスの効いたがなりでそういう部分も含めて味と言えるでしょう。負のエネルギーは十分すぎるほど伝わってくるパフォーマンス。

WATAIN辺りの暴虐でドス黒いブラックと、VED BUENS ENDEの持つ前衛性、抽象性を掛け合わせたような印象の作風で、メンバー的に繋がりのあるKATHAARIAなどが路線としては近いでしょうか。ただブラストパートのキレ具合などもあり、与えるインパクトはこちらの方が上だと思う。サウンドクオリティを下げずにカルト性を演出する、その見本のような音で、ジャーマンブラック勢の中でもかなりお勧めです。

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