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A Deeper Kind of Slumber / TIAMAT
ハルディン ★★★ (2014-10-13 21:08:00)
5th。前作でも顕著だった脱エクストリームメタル傾向は一層加速し、サイケデリックなアンビエンスを纏うプログレのみならずテクノ~トリップホップ的なエレクトロニクスやエキゾチックな民俗音楽要素までも大胆に導入し、一見とっちらかっているようでいて見事に統一されたTIAMAT流の深遠なる暗黒耽美世界を展開。僅かに残っていたドゥーム/デス色を完全に取っ払ってゴシックという明確なヴィジョンに焦点を絞り徹底的にダークな美を描いたその完成度はずばり前作以上で、個人的にはTIAMATの最高傑作だと思う。

ノリノリな1を除きほとんどが浮遊感と沈鬱ムード全開のスローな曲のみだがどの曲も特有の個性を持っていて色彩豊かな仕上がりだし、前作に引き続きシンセ等の凝った空間作りに漂う精神的なトリップを誘う心地よい倦怠感と少ない音数で紡ぐ泣きのGソロ(前任者よりも好み)と心をつかむ要素が満載。さながらゴシック・メタル版PINK FLOYDと形容すべきサウンドスケープは好き嫌いがハッキリ分かれそうだが、一度嵌れば抜け出せなくなる麻薬のような中毒性がある。

ヨハンのVoはほぼ普通声主体になり、前作のようなデスヴォイスの荒々しい咆哮を完全封印している点も大きな変化。時折お経のようにも聴こえる抑揚のない独特の歌い方だが、サイケな酩酊を誘う1つの要因となっていて効果的。大胆にイメチェンしたルックス(ジャケ参照)と相まってどことなく妖しさを覗かせるところも。

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