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Prey / TIAMAT
ハルディン ★★★ (2014-10-13 22:50:01)
8th。何となく前作と繋がりのありそうなジャケだが今作は若干路線を変えてもの悲しく陰鬱なミドル~スローな曲調が中心で、大胆なまでにふり幅の大きいアレンジの多様さは控えめに映るがその分楽曲の統一感や色合いの一貫性は高め。1の冒頭部など部分的に4thを思い起こさせる場面もあるが、あれをよりマイルドなゴシック寄りに洗練したような趣。
分厚く派手な空間装飾は少々控えめでやや軽めな音圧も相まって全体的にシンプルな音作りになったが、それでも独特の耽美世界は薄まることなく健在というかむしろ暗黒度合いや深みはさらに増す一方。女性Voを効果的に取り入れた5や6、淡々としながらも誘惑的で妖艶なメロディが黒光る3や11などはその好例。ほとんどの曲で聴かれる太くささくれた音色で紡ぐGソロの感傷的なフレーズも印象的で、感情が生々しく伝わってくるタッチが染み入る。
柔らかく包み込む淡い光を連想させるアコGやピアノ等の優しい旋律と危険な妖気を孕む漆黒の闇が一体化した空気がじわじわと精神を侵食し、さらなる堕落へと誘うゴシック・メタルの真骨頂ともいうべき耽美・退廃のエッセンスが濃縮された好盤。
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