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For The Sake Of Mankind / ARTCH
火薬バカ一代 ★★ (2007-06-05 21:03:00)
デビュー作『ANOTHER RETURN』が、いきなりKERRANG!やMETAL FORCESといった欧州のメタル雑誌で満点の評価を
獲得した事で知られるノルウェー出身の5人組パワー・メタル・バンドが、'91年に発表した2ndアルバム。
パワー・メタルと言っても、メロスピやメロパワのような疾走するリフ&リズムの上に明快なメロディが乗っかるタイプではなく、
勇壮で重量感に満ち溢れた①や、パワフルなリフ&リズムが戦車の突撃を思わせる③、スラッシーな攻撃性を発散する
スピード・チューン⑨といった楽曲を聴けば分かる通り、その作風はもっとダークでアグレッシブ。重心の低いリフが
ザクザクと刻まれる力強い楽曲の数々を聴いていると、「METAL CHURCH+VICIOUS RUMORS÷北欧メタルならではの叙情性」
という図式が頭に思い浮かんだりも。
しかし、何より本作で特筆すべきは、やはり北欧メタル・シーンきっての名シンガー、エリック・ホークの存在。
「繊細になったブルース・ディッキンソン」といった趣きの歌声は、パワー/表現力ともに抜群で、
特に、緊張感漂う疾走曲⑤では噛み付くような攻めのシャウトを、ダイナミック且つドラマチックな⑥では、
リスナーの胸を鷲掴みにする熱唱を、そして寂寥感漂う泣きの名バラード⑦では繊細な歌い上げをと、
曲のタイプによって様々な表情を見せるその歌唱は、まさに絶品。IRON MAIDENからブルースが脱退した時は、
多くのファンが「後任はこの人で良いじゃん」と思ったものでした(?)。
これだけハイクオリティなアルバムを作り上げながらも、その後の活動がパッとしなかったのは、
まさに時代が悪かったとしか言いようが無い。

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