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Contagious / Y & T
火薬バカ一代 ★★ (2015-03-02 23:06:13)
キッチュなイラストからシンプルなデザインへと、アートワークが随分と落ち着いた'87年発表の6thアルバム。前2作のジャケットをボロカスに罵って来た身には歓迎すべきこと・・・と思いきや、これはこれで何だか大人し過ぎて物足りなく感じてしまうんだから、我ながら度し難い。
で、アートワークの変化と共に音楽性の方にも変化が。メタル・バンドとしてのY&Tの屋台骨を支え続けて来た名ドラマー、レオナード・ヘイズが去ったことで、サウンドは一気にポップ路線へと傾斜。OPナンバー①なんてHEY!HEY!HEY!なイントロからOH~OH~OH~なサビに至るまで、あからさまに当時のメインストリーム・ロックからの影響が打ち出されています。
ケヴィン・ビーミッシュの手掛けた洗練された音作りや、全編に亘って厚く敷き詰められたハーモニー、あとジミー・デグラッソの脇に徹したドラミングの印象もあり、楽曲はこれまでに比べ淡白な仕上がり。「油彩画を期待してたら水彩画だった」的なこのタッチの変化に戸惑い、咀嚼するまでにかなり時間を要した作品ではあるのですが、よくよく聴けば、前述の①にしてもそれ以外の楽曲にしても、デイヴ・メニケッティの歌とギターは冴えまくっていますし、哀愁に満ちた③⑤⑥なんて彼の面目躍如。そして満を持してラストで炸裂する、タイトル通りの濃厚な泣きが溢れ出すインスト曲⑩の素晴らしさよ。欲を言えば歌入りで締めて欲しかったところではありますが・・・。
結論としましては「味付けが薄かろうが濃かろうが、美味い料理は美味い」ということで。

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