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Live in Graz 1975 / DEEP PURPLE
帰ってきたクーカイ ★★★ (2015-03-28 20:50:08)
常々、MkⅢのメンバーによる、『Made in Europe』の素材となった、どこかの公演を丸ごと一枚のアルバムにしたライヴ盤を聴きたいと思っていた。それは『Made in Europe』の出来が悪くなかったからだ。だが、『Made~』は5曲収録で、少々物足りない。
で、本作のリリースはとても嬉しかった。
結論から先に述べるが、本作は最高である。
リッチー・ブラックモアが脱退直前だから、演奏にやる気がないのではないか・・・。そう懸念される方がいたら、安心して欲しい。それは、ない。むしろ逆にアグレッシヴである。
リッチーは脱退を考え始めると、スタジオ・アルバムの質は上がらない(「下がる」のではなく、「上がらない」)が、ライヴでのパフォーマンスの質には、あまり影響しないのではないか。そう私は考えている(あくまで私自身が聴いた範囲内での話だが)。あの『Come Hell or High Water』ですら、決して悪くなかった。目の前に聴衆を見ると、一定水準以上の演奏をしてしまう、職人気質のアーティストなのではないかと思う。そして、逆に何かに怒っている時の方が、良いのではないか。
それでまた、本作のリッチーも切れまくっているように見受けられる。
本作は音も良いし、演奏の切れ味も鋭い。ライヴ盤としては文句なく最高峰のアルバムとして評価できる。
話は変わるが、聴いていて可笑しかったのはグレン・ヒューズだ。
正直、ウザい(苦笑)。いや、ウザいというのは多分、感想として間違っているのだろう。グレンはDPに歌えるベーシストとして雇われたはずだし、ある意味ダブル・ヴォーカルがMkⅢの持ち味だったのだから。だが、ライブの場で、ディヴィッド・カヴァーデイルのMCがあまり無くて、グレンがベラベラ喋っているのは、何だか妙な感じだ。もしかするとカヴァーデイルが当時MCを苦手としていたのかもしれない。あるいは喉をいたわる為にあまり喋らなかったのかもしれない。だが、メイン・ヴォーカリストを脇に置いて、ベーシストが能弁さを披露する、というのは個人的にはどうも・・・(実際、歌で高音部分やシャウトの大半を担当していたとしても)。
そういう意味ではMkⅢってアンバランスというか、あまり歪んではいけない部分が、根源的に(そして致命的に)歪んでいたんだな、と感じるのである。
→同意