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In Times / ENSLAVED
ハルディン ★★★ (2015-04-03 20:34:22)
13作目。大傑作だった前作から3年ほどのインターヴァルを経ての待望の新作だが、長く待った甲斐のある濃密作に仕上がっている。前作と同じ制作陣ということもあり今回もプログレ路線の延長上で、全6曲だが殆どが8~10分台というボリューミーな大作主義ぶりなので食い足りない印象は一切ナシ。
誤解を恐れずに言えばLED ZEPPELINやRUSH等のクラシック・ロック的なヴァイブが漲るアンサンブル、70'sプログ・ロック由来の意識の深くまで入り込んでいくスピリチュアルなサウンドスケープといった前作・前々作の要素に加え、1や3に顕著なトラッド要素や北欧ブラックのどす黒く渦巻くブルータリティや疾走感が復活することで一層アルバム流れにメリハリがついた。アルバム前半は禍々しさに満ちたアグレッシヴな曲、後半はヴァイキングならではの勇壮さと哀愁に満ちたエピック曲と明確に色合いを変えてくるのも特徴。
そして作品を重ねるごとに進化していくエルブラン・ラーセン(Vo,Key)の活躍ぶりが過去最高レベル。登場頻度を増した鍵盤ワークは必然的に情景作りにおける重要性を高め、さらに彼のクリーン歌唱に繊細な表現力とかつてないほどの力強さが増している。古の風情溢れるメロトロン捌きに加え、神秘的な詠唱を思わせるコーラスワークの数々や甘くしなやかな美声で高らかに歌い上げるその存在感は強力で、現在のENSLAVEDの魅力の一角を担っている。
聴き手のイマジネーションを喚起させる幻想性と原始的な野蛮さが幾重にも重なる、果てしない深みに満ちた暗黒プログレ世界へと誘う傑作。もっと評価されるべきだと思う。
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