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Shiftin' Gear / ALIEN
火薬バカ一代 ★★ (2015-04-04 00:28:36)
デビュー作『ALIEN』がヒットをかっ飛ばすも、その後は増大するレコード会社からのプレッシャーと過酷なツアーに耐えかね、看板シンガーを始めメンバーの離脱が相次ぎ、崩壊の瀬戸際まで追い詰められていたALIENが、'90年に最後っ屁として放った2ndアルバム。
そのためジャケットにクレジットされているのはトニー・ボルグ(G)と、二代目フロントマンのピート・サンドベリ(Vo)のみで、他のパートはセッション・ミュージシャンを起用。Dsに至ってはドラム・マシンで済ませていることからもバンド内部の混乱した状況が伝わってきますが、内容の方は、これが決して悪くない。
殊に、ピートの甘くウェットな歌声をフィーチュアして溌剌と躍動する⑤は、ALIENの新生面をアピールする魅力的な名曲。この曲に限らず、Keyが後方へ下がり、全体的に逞しさを増した(飽くまで前作比の話ですが)楽曲や音作り等は、ハード・ロッキンなソロ・アルバムを作りたかったのにレコード会社からの要請で本作制作に取り掛かざるを得なかったトニーの意向が反映された結果なのでしょうかね。
北欧ハードポップの名盤だった前作と比べてしまうと、メロディの煌きやリリシズムが渋く落ち着いてしまった感は否めませんが、それでも本作が、これを最後に解散するバンド(その後再編して復活)が作ったとは思えぬ充実っぷりを誇っている点には、素直に脱帽させられる次第。

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