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Call to Arms / SAXON
失恋船長(2015-05-07 15:56:24)
デジパック仕様に1980年のドニトンでのLIVEを7曲、本編と合わせ収録した2枚組。これで1400円だったような気がする。値段の安さにつられ購入したのが今作。90年代の半ばに北米マーケットはメタルへの終止符を告げ、多くのバンドは主戦場を欧州へと移しざる終えない状況へと追い込まれます。もともとが欧州シーンに根付いたトレンドと言うものがあり、それらは流行を吐き捨てる北米マーケットとは違うので、多くのバンドは基盤を移す事により音楽性が復活。勿論、安易な焼き回しなど許されるわけもなく、それらなりのモデルチェンジを強いられるわけです。時系列でSAXONのCDを聴けば、どのような作風へ変貌を遂げたかが当時の背景を色濃く映し、主戦場で凌ぎを削るべく、どのような武装で挑むのか、時代の流れの中で自らが生み出すトレンドと世論への期待に応える姿勢、それらがより本筋に合致すれば強く輝きを増すわけです。90年代後半からパワーコード、パワーリフを多用したパワーメタル色も強め2007年にリリースした、往年のバイカーサウンドにあのリフワーク、哀愁のドラマ性を極限まで高めた「The Inner Sanctum 」ではまさに大円団を迎えます。今作はそれまで色濃くしてきた現代風のヘヴィネスさは減退(個人的には速いだけの⑦みたいな曲はSAXONがやらんくてもと思います)その効果はてき面でここにきて、今まで以上に初期の頃を彷彿とさせる方向へと舵をきり、いかに欧州のメタルシーンがトラディショナルなメタルが息づているかが窺い知れるわけです。叙情性と若々しいパワーが漲り老いて益々盛んな音楽で新たなる魅力を知らしめた2004年リリースの「Lionheart」 などと比べると地味ですが、英国の伝統を色濃く反映させた今作こそ本来あるべき姿なのかも知れませんね。またビフの歌声は益々艶を増し、この声が聞こえてくれば、それはもはや何をやってもSAXONなのでしょうと言わしめる程の貫禄。何を聴きたいかで評価も割れるでしょうが、個人的には良くも悪くも、どこを切ってもSAXON節な一枚かと思います(個人的にはボートラが熱かった)これほどのクオリティを誇る今作にも関らず、彼らが所属するドイツのUDRミュージックは極東アジアの日本とまったくパイプがないので、国内盤リリースは難しいのかな?

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