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WORLD ON FIRE / TOUR DE FORCE
火薬バカ一代 ★★★ (2015-05-28 23:11:40)
日本のHR/HMシーンが最も巨大化したと言われる90年代。レコード会社は競ってその嗜好にフィットするメロディック・ロック・バンドを矢継ぎ早にデビューさせ、弾が尽きてくると、今度はお蔵入り音源(殆どは欧米に到来したダーク&ヘヴィ・ブームの煽りで塩漬けにされてた物)を引っ張り出して「新作」の体裁でリリースしました。
NY出身のTOUR DE FORCEのこの2ndも、そうした流れの中でリリースが実現したアルバムの一つ。当時既にバンドは解散済みで、元がデモ音源ゆえ音質はイマイチ、おまけに中弛みの原因となる全17曲収録の超過ボリューム・・・。それでも本作が輝きを失っていないのは、収録楽曲の放つ眩い輝きが、弱点の数々を霞ませてくれているからでしょうか。
声質はやや重だが歌の上手さは折紙付きのVoに、泣きを孕みつつ適度にエッジを保つGと、しなやかに楽曲を彩るKeyが三位一体となって織り成す、フック満載のメロハー・ソングが連続する本編は時が経つのも忘れてしまう心地良さ。特にマイケル・ボルトン提供の“EMERGENCY”型名曲①に始まり、キャッチーに躍動する⑤を経て哀感溢れ出す⑥へと至るアルバム前半の流れは白眉。また先に「中弛み云々~」と書きましたが、名曲⑮の存在が後半戦を引き締めてくれているため、聴後感も然程悪くありません。
(皆さんご指摘の通り)中古屋じゃ数百円で投げ売りされてるのが、勿体無いやら有り難いやら、複雑な心境に陥る哀愁のハードポップの名盤ですよ。
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