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Freak-Out / AION
失恋船長 ★★★ (2015-06-18 14:42:15)
空前のビジュアル系ブームの中でAIONも見事にメジャーデビューを果たすのですが、正直窮屈な音楽性に囚われている印象を受けました。自分たちらしさと求められる音楽性との折衷案になんとなくかみ合わせの悪さを感じ、ほぼ彼らのバイオは知りません。今作も失踪した友人が段ボール箱一杯のCDを僕に託した中にあった一品。1995年リリースのアルバム、和田アキラのプロデュースと聴く前から興味をそそる組み合わせ、フュージョン系のギタリストとして日本を代表する和田氏とオルタネイトピッキングから繰り出される高速ギターによるスピード命な楽曲に歌謡メロを盛り込んだメジャー後の音楽性、その歪みをどのような形で修正してくるのかと大いなる期待をしたものです。基本スタイルを残しつつフュージョン風から、デスメタル風までと幅広い音楽性を網羅、このスタイルならキャッチーでコマーシャルな歌メロも浮きまくる事無くすんなりと溶け込み、逆に求心力を発揮する好循環へと流れる事に成功。IZUMIのギターも変化自在に弾きまくり、時折ファンキーなテイストさえ感じさせ懐の深さを存分にアピール、速さだけではない超絶テクニックとエキサイティングかつエモーショナルなプレイの数々に興奮必死。それを支えるリズム隊も柔軟なプレイで応酬、緊張感溢れるリズムセクションを構築しております。ディストーションボイスを響かせるNOVの強靭な歌声もバンドの顔として多様性を孕んだ楽曲の中でも見事に重責を全うしており、転換期を迎えたバンドの方向性にメタル然とした楔を打ち込んでいます。初期の荒々しいデスラッシュサウンドから一転、あまりにも変わった印象を受ける楽曲の多さは生粋のファンにとっては相当厳しい音と耳に届くのでしょうが、思い入れがなかった僕にとっては速いだけじゃない、ある意味、攻め込んだ4人の姿勢に大いなる興味を持たされました。

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