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Calm Before the Storm / VENOM
失恋船長 ★★★ (2015-07-04 21:20:03)
マンタス脱退、あの禍々しいと形容されたヴェノムサウンドは何処へと筋金入りのファンの嘆きも聞こえる1987年リリースのアルバム。クロノスのアタッキーなベースと下品の歌声もどこか他所行き仕様かもしれませんが、ツインギター編成への変更が功を奏したのかメロディックなツインリードに華麗なソロもねじ込み品行方正さもアップ、その魅力は①②といった曲にも反映され新生ヴェノムをアピールする事に成功。バカテンポな③では初期の破天荒さを想起させる憎い仕様と(曲名も凄いね)旧来のファンを取り込む苦心溢れる姿も垣間見る事が出来ますね。アグレッシブなスピードナンバー④の聴き手を一刀両断する鋭さを併せ持ち、こうしてジックリ耳を傾けると、メジャーどころでは味わえないアングラ臭漂う魔人ぶりも伺う事が出来ますね。それに初期の頃から、ノイジーで過激さ命な攻撃性で迫っていましたが、メロディーラインにはキャッチーさもあったしリフワークも意外と取っつき易いもので、実は核になる部分での変貌は、パッと聴きの感触ほど変わっていない事を知ることが出来ます。
結局は、リリース時に一般的な評価を受けなかった初期の作品が後に、ブラックメタルの元祖(プリミティブブラックね)彼らなくしてスレイヤーは登場しなかったとか、コアなファンから神格化された事が、身も蓋も無い攻撃性=ヴェノムだったのに、普通のHM/HRをやったらアンタら個性が死んでしまいますと有識者から烙印を押されました(初期の作品をゴミ扱いしてたじゃん)。④のスピードメタルとか聴いて、今の若者がどのように感じるか逆に気になりますよ。僕にはメイデンやプリーストよりも過激でメロディックなスタイルのメタルを聴き易くまとめた名盤と耳に届きました。ガガガガっと切れ味鋭いギターリフの応酬にはらしさを感じずにはいられません。この路線を推し進めた作風は1992年まで進み、イマイチ評価を受けない黒歴史的な扱いを受けていますが(再発もない)突貫メタルの⑥、過激でメロディックな⑤、いい意味での横暴さが出てますね⑦、芸の細かいドラマ性を配した⑧、バキバキのベース音もカッコいい⑨、一気呵成に駆け抜ける⑩、ダーティーな暴走R&R⑪と尋常じゃないエネルギー漲る喧嘩上等HM/HRナンバーが目白押しですので、タンクやモータヘッド、レイブンと言ったところが好きな方なら楽しんでもらえるでしょう。さらには今作風を飲み込める方には今作では不在のマンタスと新シンガーデモリッションマンを含んだラインナップによる1992年までの作品も楽しめるので、併せて聴いて欲しいですね。

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