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Reach for the Sky / SOLITUDE
失恋船長 ★★★ (2015-07-31 21:14:46)
最近は幾度、年内にリリースされた新作の購入も無いしメジャー流通など自身の嗜好的に年に10枚あるか程度、ほぼかつての名品を探す日々が楽しくノスタルジーを満たす以上に新たなる発見と深まる知識に思いを馳せるのですが、歴戦の兵が集いし今作は即購入せざる得ませんでした。杉内哲、西田亨の両名はサクリファイス時代からの盟友故に盤石のソングライティングチームとしてバンドサウンドを礎を築き、本作ではこれまで以上にオーセンティックなHMの要素を投入。勿論、彼らの魅力たる、肉食獣が獲物を捕獲するが如き躍動感溢れる獰猛さも損なわれず、また瞬時に耳を惹きつけるキャッチーなフレーズと哀愁度も当然損なわれる事はない、この純度100%のHM/HRを体感させてくれるアレンジが眼前と広がる光景に熱いものがこみ上げてきましたね。ヘヴィメタルドラマーとして完全に復帰を果たしたMAD大内の麦踏ツーバスも炸裂、良くも悪くもマッドはこれなんだと言わしめる往年のキレが戻り、西田のバッキバキのゴッキゴキなアタック感の強いベースとの絡みもより盤石なものへと仕上げてバンドの推進力となり更なる高みへと押し上げています。その凄みは激烈に攻め込まれ肉汁滴るホルモ二ックな①で体感出来るし、モーターヘッドよろしくハードブロウな②へと小気味よく流れオープニングからメタル魂を鷲掴み、LIVEを体感しているような臨場感溢れるサウンドメイクも功を奏し高揚感を煽りまくります。その勢いは闘争心を掻き立てる④⑥にも顕著に表れるし、そして杉内の慟哭が胸をジンワリと焦がす⑧、重厚な構築美溢れるタイトルトラックの凄み、エモーショナルな⑤など剛柔兼ね備えた彼らの魅力を詰め込んだ楽曲なども盛り込み、贅肉を削ぎ落した全8曲に無駄は皆無、今の彼らの魅力をギュッと詰め込んだ名盤へと仕上げてきました。CRUCIFIED BARBARA等の仕事で知られるマグナス・アクセルソンのミキシングもあえて狙った温故知新なニュアンスを体感させる音に拘りを感じさせる辺りも憎いね。

ヘヴィメタルも細分化が進み、ちょっと違うタイプのメタルになると見向きもされない状況がある事を昨今は感じます。かつてメイデンもプリーストもメタリカもヨーロッパもモトリークルーもみんな、メタルと言えば通じ、好き嫌いはあれど認められ共通言語のようなものでした。今作のようなギミックなしの音で勝負している作品を前にすると本当に、小さい仕分けなどどうでも良いと思わずにはいられません。JAPANESE ASSAULT もマーヴェリックのとのツアーは生涯忘れられない経験となりました。アニソンばりの分かりやすい華やかさや、スピード感があったほうが今はウケがイイのかも知れませんが、今作のような作品がある意味THEヘヴィメタルと言われるんですが如何でしょうか?なくしてはいけない伝統芸能なんですよね。個人的にはもっとも愛すべき時代を超越した一枚となります。

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