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Hibria / HIBRIA
火薬バカ一代 ★★ (2015-09-03 00:05:49)
セルフ・タイトルを冠した'15年発表の5thアルバム。最初に書いておくと、今回も初期路線ではありませんので。曲によっては管楽器が吹き鳴らされたり、スティーヴィー・ワンダーの“愛するデューク”のカヴァーに挑戦してみたりと、それはもう拡散の方向へ意気揚々と突き進んでいて、山本リンダばりに「もうどうにも止まらない」と。
しかしながら、それでも本作がストロングなHMアルバムであることに違いはありません。ユーリ・サンソン(Vo)のメタル魂を燃焼させるかの如き熱唱も、テクニカルな楽器陣が火花散らすインスト・パートのテンションの高さも健在。中でもパワフルにして劇的な⑧は、本作購入を悩む人に「この曲目当てで買いなよ」と声掛けて回りたくなるカッコ良さですよ。
先に触れたホーン・セクションについても、別に鳴り物が導入されたからといって能天気になってしまったわけはなく、その使用法は主にサウンドの「威勢の良さ」を補強する方向で活用。例えるならRIOTの『THE PRIVILEDGE OF POWER』の導入法に近い感じゆえ、個人的には然程気にせず受け止めることができました。『THE PRIVILEDGE~』すら受け入れ難かったという人には、慰めの言葉のかけようもありませんが・・・。
既にバンド初期の中心メンバーは脱退済みで、今回で路線変更以降の作品数が正統派HM時代のそれを上回ったこと等を鑑みるに、最早「HIBRIAはこういう音楽性のバンドなのだ」と割り切ってしまった方が、作品がリリースされる度に落胆するよりも精神衛生上よろしいんかなぁと。
少なくとも本作が、そう思わせるだけの質を備えていることは間違いないので。

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