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Sacrifice / SAXON
失恋船長 ★★ (2015-10-19 16:45:42)
アナイアレイターやモーターヘッド等と同じドイツを主戦場にするUDR Musicに籍を置き精力的な活動を続ける英国のベテランバンドが2013年リリースのアルバム。思わせぶりなイントロのあとミドルナンバーで幕が開け、一瞬肩透かしを喰らった気分になるのですが、前作よりもソリッドかつ剛毅なジャーマンメタルにも通ずる昨今のサクソンサウンドが復活、続く③もアイリッシュなフレーズを随所に盛り込んだヘヴィな曲と続き重々しい雰囲気で幕が開けます。しかし④ではサクソンらしい哀愁のメロディを含んだ疾走ナンバーを披露、ここからエンジンが掛かりだしキャッチーな⑤の単純に走るだけではないアレンジの旨味を堪能し、王道R&Rナンバーの⑥と続きます。いかんせんビフの毎度おなじみの似たような音階を行ったり来たりする歌メロなのでマニア以外には変わり映えしない音楽性と映るのでしょうが、そこがサクソン最大の魅力の一つなので楽しめなければサクソンは聴かない方がよいでしょうかね?お約束ナンバーの後に構えるは、彼らがキャリアを積んだだけの大御所ではない現役バンドの凄みを体感させてくれるヘヴィな⑦に始まり、三連が気持ちいい哀愁のあるメロディが映える⑧ここで聴けるビフの色気のある唄が凄い、貫禄たっぷり重厚なリズムがズッシリと響く⑨のカッコ良さ(転調せんでもええよ)とヘヴィな曲が続き、割と地味なオープニング、中盤では王道スピードサウンドが続き、所謂マンネリ感が漂う中でガツンとかましてくれる事で2000年以降の新生サクソンとしての矜持を保ったように感じます。だからこそ⑩のような曲でアルバムを閉めたのでしょう憎い演出ですね。前作もそうだったのですが、今作もこの曲というリーダートラックがない分、地味に感じる面はあれど、今の時代を取り込みけっして過去の焼き回しで終わらないベテランバンドの気概、どこを切っても紛うことなきヘヴィメタルサウンドの凄みに改めてひれ伏しますね。

ちなみに今作にはデジパック仕様の2枚組とデカイポストカートにTシャツとLive In HaalemのCDがついた3枚組があります。僕がもっているのは3枚組みなのですが、この2枚目が熱い。一部のマニアにはいまだに認められてもらえない「Crusader」から2曲リメイク。ブルージーな「Just Let Me Rock」に「Crusader」はストリングスを大胆に導入した新生ヴァージョン。「Solid Ball of Rock」収録の「Requiem (We Will Remember) 」はアコギヴァージョンで生まれ変わり、同じく1st収録の「Frozen Rainbow」、そして「Forever Free」の現ラインナップによりセルフカヴァーと興味深い楽曲が収録されています。

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