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Repentless / SLAYER
火薬バカ一代 ★★ (2015-11-03 10:14:44)
出たり戻ったりなデイヴはともかく、ソングライターとして、ギタリストとして、ケリー・キングと共にバンドの中心的役割を担っていたジェフ・ハンネマンを失ったSLAYERの新作ということで、事前に抱いた不安は決して小さからぬものでしたが・・・。不穏なインスト序曲①を切り裂いてく高速スラッシュ・ナンバー②が走り始めた途端(SLAYERがアルバムのOPにこういう勿体つけた構成を取るのって初めて?)、多くのファン同様、安堵の溜息を漏らしてしまいましたよ。
序盤のファスト・ソングによる畳み掛け、中盤にイーヴルなミッド・チューンを固めて空気を煮立たせた上で、終盤の再加速でそのエネルギーを解き放つ「力みなくして解放のカタルシスはありえねぇ」(範馬勇次郎談)構成等、本作にはスラッシュ・メタルならではの魅力が横溢しています。
ただジェフを欠いた編成での初めてのアルバム作りということで、リフにしろGソロにしろトム・アラヤのシャウトにしろ、SLAYERのイメージには忠実であるものの、今回は本能剥き出しで猛り狂うクレイジーネスは抑え気味。恐らく作曲作業は相当慎重に吟味が重ねられたのではないかと。
そんなわけで、当初は「スラッシュとしては満点ですが、欲を言えば《帝王》の凄みを感じさせるキメの1曲が欲しかったですな」とか「本当の勝負作は次作でしょうな」とか、好き勝手に上から目線かましてたのですが、足を運んだLOUD PARK 15で、威厳と殺気のオーラ立ち上らせる彼らのパフォーマンスと、そこから繰り出される本作の楽曲のカッコ良さに全力平伏。今じゃ手のひらクルッと返して「前言撤回。名盤。」との評価に落ち着いたのでありました。

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