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Anecdote of the Queens / NOZOMU WAKAI'S DESTINIA
失恋船長 ★★★ (2015-11-16 14:48:29)
玄人や関係者のみならずライトリスナーにも好評だった1stに続いて短いスパンでリリースされたミニアルバム。前作同様充実したメロディと絶妙なアレンジが光る叙情派サウンドを披露、何を聴かせるかを明確にしつつも、前作以上に幅広い楽曲を収録。特に今作では二人の女性シンガーを迎え、その特性に合わせた選曲と思われる節もあり改めて主役を張る若井望のコンポーザーとしての才に惚れなおしました。オープ二ングの①における低音を効かした歌唱スタイルは新たなる魅力を光らせたFUKIちゃんの男前な歌声は楽曲に力負けする事のないパフォーマンスを魅せ新鮮な響きを伝える事に成功。ポップな②は榊原ゆいさんに、甘美でハードな③を器用に歌いこなしたFUKIちゃん、二人のシンガーが役割分担を見事にこなした雄大なバラード④、爽快感すら漂うバチコーンと弾ける疾走感が気持ちいい⑤はFUKIちゃん、榊原ゆいさんが芝居がかった歌声を披露するハードなロックテイストの強いメロウなミドルナンバー⑥、①のロブ・ロックが歌うヴァージョンの出来は言うに及ばずだが、女性シンガー二人のパフォーマンスも巧みな表現力を生かしメロディックな王道を行くヘヴィメタルサウンドにガッツリと向き合いビシビシとしのぎを削る様は聴き応えのある内容でした。前作におけるゲストシンガーは、線は細いがオペラティックな歌唱スタイルとパワフルなハイトーンが魅力のロブ・ロックに、ヴォイスオブビースト森川之雄、剛柔兼ね備えたヘヴィメタル界の貴公子小野正利でしたから、彼らと比べると弱いのは仕方ない事なのですが、聴けば聴くほど、彼女達の可憐さや凛とした女性らしい力強さに魅了され、また楽曲の良さを引き出す相性もあり、リピート数では1stを超える聴き様で、二人のシンガーにすっかり魅了されましたね。テクニックに溺れる事無く魅力的なフレーズを連発する若井のプレイは勿論だが(柔軟な音楽性がよりソロ、バッキングにおける美味しさを倍増させたのが凄い)、宮脇、寺沢のベテラン組における安定のリズムプレイが生み出す心地よさ、キーボードが音楽性を深めよりスケールの大きな音楽の世界へと導いてくれる様も見事だ。個人的には派手な曲も勿論良いが、FUKIちゃんが女心を歌う③が一番のお気に入りです。あれは男が歌うと気持ち悪いもんね。

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