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Cross Purposes / BLACK SABBATH
火薬バカ一代 ★★★ (2015-12-10 00:01:32)
ロニー・J・ディオ擁するラインナップが早々に瓦解したことを受け、トニー・アイオミはキープ君(死語)…もとい気心の知れたシンガー、トニー・マーティンを呼び戻して(ドラマーには元RAIBOWのボブ・ロンディネリを起用)'94年に本作を発表しました。
当時はどうしても『ETERNAL IDOL』『HEADLESS CROSS』『TYR』と比較してしまい、「収録曲の出来にムラがある」とボヤいていたのですが、時間の経過に伴い、無駄な比較をせずに単体で楽しめるようになると「これって案外・・・いや、非常に良い!」と評価が急上昇しましてね。
ギーザー・バトラーのBが生み出す漆黒の闇の中で、マーティンの麗しい歌声とアイオミの泣きを湛えたGプレイが艶やかな光沢を放つサウンドは、「烏の濡羽色」とでも言うべき仕上がり。確かに印象に残る曲/そうでない曲の境目が結構あからさまですが、緊迫感を湛えて疾走する“I WITNESS”、元祖ドゥーム・メタル・バンドの凄みが匂い立つ“VIRTUAL DEATH”、グルーヴィなヴァースと伸びやかに疾走するサビメロの対比が効いてる“IMMACULATE DECEPTION”、宵闇バラード“DYING FOR LOVE”、ジェフ・ニコルズのKeyも良い仕事している“CARDINAL SIN”といった優れた楽曲が、そうしたムラっけをカバーしてくれています。そして何といっても幻想的なアートワークをそのまま楽曲化してしまったかの如き荘厳な名曲“CROSS OF THORNS”の存在が、聴き手にトドメの一撃を加えてくれる!と。
発表当時よりも、年月を重ねた現在の方が遥かに評価の高い(俺の中で)1枚ですね。

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