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High and Mighty / URIAH HEEP
火薬バカ一代 ★★ (2010-08-27 21:51:00)
正直「それはどうなの?」と言うジャケット・イラストと、妖しさやドラマ性を大幅に減じた
シンプルでポップな作風がファンの間で賛否両論を呼んだ、'76年発表の9thアルバム。
ケン・ヘンズレー(Key)との反目や、自身のアルコール中毒の悪化でのっぴきならない状況下にあった看板シンガー
デヴィッド・バイロンは、遂にこのアルバムを最後にURIAH HEEPを去る事となるが、OPナンバー①でリードVoを
担当しているのがジョン・ウェットン(B)な辺りも、そうしたバンド内の緊張状態を表しているような?
その①は聴き始めこそ地味な印象だが、華麗なコーラス・パートが花開く後半はグッと盛り上がるし
(ただキーが全くあっていない楽曲を歌うウェットンの歌唱はかなり苦しそうだ)、続くおセンチな泣きメロに
思わず涙腺が緩む感傷的な②、タイトル通りミスティックでマジカルな雰囲気を湛えた③、力強く劇的に
盛り上がっていくバラード④、元気溌剌でオマケにキャッチーな⑤・・・と優れた楽曲が連続するアルバム前半は、
収録楽曲の完成度にややムラの見られた前作『RETURN TO FANTASY』を(取り分けメロディの魅力において)完全に凌駕。
まぁ前作タイトル・トラック程の名曲は収録されていないし、マッタリとした後半はテンションが下降線を
描いてしまう事など、手放しで絶賛しにくい作品であることは確かなんだけれど・・・。(いやでも⑦は良い曲だ)
ケン・ヘンズレーが曲作りを殆ど1人でこなしていることから、「URIAH HEEPのアルバムというより彼のソロ作」
と揶揄されることも多い1枚ながら、逆にそれがアルバムの流れに一本筋を通す好結果にも繋がっており、
個人的には前作より愛聴している作品だったり。

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