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Audio-Visions / KANSAS
火薬バカ一代 ★★ (2008-12-21 21:07:00)
スティーヴ・ウォルシュ在籍時代最後の作品となった、'80年発表の8thアルバム。
80年代に入り、JOURNEYやSTIX、BOSTONといった同期バンドの成功に触発されたのか、ファンタジー色が失せた
即物的なジャケット・アートワーク(正直、かなりのダメジャケ)といい、曲展開がシンプルに整理され、
キャッチーなコーラス・ワークが強化された楽曲の数々といい、モダンな産業ロック方向へと大きく舵を切った本作は、
前作との間にケリー・リヴグレンとスティーヴ・ウォルシュのソロ・アルバムを挟んでいるせいか、ケリー作のプログレ路線と、
スティーヴ作のロックンロール路線とに、収録曲のタイプがハッキリと分かれてしまっているのが特徴と言えるかも。
個人的には、キャッチネスと重量感を兼ね備えたOPナンバー①、泣きの名バラード③、劇的な⑤、流麗且つ軽やかな⑧といった
ケリー作曲のプログレ・タイプの楽曲がより好みなれど、歯切れ良く疾走する④のような、スティーヴの手による
楽曲の素晴しさも捨て難い。そして、何と言っても本作は⑦の存在に尽きる。ハードロッキンな激しさと、
プログレ・ハード然したドラマティックな曲展開に絡む、ロビィ・スタインハートの攻撃的なヴァイオリン・プレイ・・・
と、まさにKANSASの魅力の粋が詰め込まれたこの名曲を聴くためだけにでも、本作は聞く価値があるというもの。
後のスティーヴ脱退を予期させる内容とは言え、相変わらず完成度の高さに揺るぎはない、KANSASならではの名盤。

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