この曲を聴け! 

Kind of Blue / MILES DAVIS
うにぶ ★★★ (2016-05-07 17:27:37)
ハード・バップ期やエレクトリック期を先に聴いていたので、初聴時はあまりの大人しさに耳を疑いました。
ロング・セラーとなって、トータル1000万枚以上売れたらしく、ジャズの定番のようになっていますが、ジャズとしてはかなり異端な作品ではないでしょうか。当時における斬新さのみならず、以後にもあまり類がないという点でも。
この後のマイルス作品はもちろん、ジョン・コルトレーンやビル・エヴァンス、ハービー・ハンコックあたりの諸作品を聴くと、「ああ、それまでのジャズとは違うんだな」とはなりますが、皆それぞれ違う表現をしているため、このアルバムと同じような作品が増えたわけではない気がします。(強いて言えば、エヴァンスだけがこの空気感を持ち続けたかも。)
ハード・バップからモード・ジャズへの移行という点での革新性がよく言及されますが、モードに則った曲もそうでない曲も、うまくカラーを合わせて統一感を持たせているところが魅力です。
最初は、買って損したななんて思いましたが、何度か聴くうちにこの抑制された緊張感と美しさの虜となり、今では大好き。鎮静効果が高く、精神安定剤としてよく聴きます。
特に1曲目、「So What」は、ベースとピアノによるメイン・フレーズの提示から、「青っぽさ(蒼・藍・群青・青緑・薄闇)」が広がってゆく雰囲気づくりに降参です。
その後のライヴ盤ではスピード・アップして完全に別ものの曲になってしまいますが、やっぱりこのオリジナル・ヴァージョンが一番です。

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