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Ghost of Graceland / TREAT
火薬バカ一代 ★★★ (2016-06-23 00:55:32)
昨年行ったフェアウェルツアーが予想を上回る反響を呼んだことから、サクッと解散宣言を撤回したTREATが'16年に発表した復活第2弾アルバム。
ファンがTREATに期待する要素全部盛りの快作だった前作『COUP DE GRACE~最後の一撃』に対し、今回は「一握りのビジネスマンが世界経済を牛耳る」という世相を皮肉ったアートワークが表す通り、全体的にダークな色合いを強めた仕上がり。へヴィなGリフやグルーヴが前面に押し出されているのは、メンバー曰く「長期ツアーの経験が反映された結果」とのことですが、昔からメロディックHRバンドが「ライブ映えする曲作りを心掛けたぜ」なんて言い出すと大抵ロクなことにならないと相場が決まっていて、本作も1曲目の重たげなGリフが聴こえて来た時は「げぇ」と眉を顰めてしまいましたよ。
ところがどっこい。伸びやかなロバート・アーンルンドの歌声、抒情的なKey、美麗なるハーモニーが活かされた本作に関しては、ハードネスを増強しても全く大味にはなっていないという。逆にシリアスさを強調することで、北欧メタルならではの愁いや泣きがクローズアップされたメロディをもって収録各曲にフックを構築してみせる作曲術は、これまでJ-POPシーンに多数のヒット曲を提供して来た歴戦のメロディ職人、アンダース・ヴィクストロムの面目躍如。特に緊張感を湛えた仄暗いヴァースから、徐々に視界が開けていくようにサビへ向かって色彩が変化していく曲展開の巧みさには唸らされるものあり。勿論アップテンポの⑤を始めとする、従来のTREATらしさ溢れる楽曲も十分に魅力的ですしね。
解散宣言を撤回してくれて良かった、と心から思わせてくれる1枚。
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