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Under the Spell / HEXX
火薬バカ一代 ★★★ (2016-07-12 22:52:26)
デビュー作『NO ESCAPE』発表から暫くの後、ボスのマイク・ヴァーニーに呼び出されたので「印税の小切手でも貰えるのかな?」と胸ワクで訪ねてみれば、待っていたのは箱一杯に詰められた返品レコードの山。「あんなに頑張って作ったのに…」と激しくショックを受けたバンドは、仕方なくその売れ残りを自分達で買い取ることにしたという。…ってなエピソードに落涙を禁じえなかったHEXX。意気消沈したメンバーの離脱が相次ぐも、何とか踏ん張って新VoとDs、更にはサイドGを加えた5人編成で体制を整えると、再びSHRAPNEL RECORDSから'86年に発表した2ndアルバムがこれ。
前任者以上の暑苦しさで迫り来るハイトーンVo、IRON MAIDEN、JUDAS PRIST由来の劇的且つテクニカルに炸裂するツインGをフィーチュアして、王道SHRAPNELメタル路線を今回も突っ走っていますが、本作制作当時、バンドの根拠地たるサンフランシスコはスラッシュ・ブーム花盛り。その熱気をもろに浴びた彼らも、ササクレて刻まれる金属質なGリフや、ドスを効かせて押し出すリズム・セクション等、スラッシュ・メタルのエレメントを作品に闘魂注入。VICIOUS RUMORSの“DON’T WAIT FOR ME”を思わすパワフルな①、好戦的に畳み掛ける②、アップダウンの激しい③etc…と、スラッシーなアグレッションが大幅増量された収録楽曲からは、前作を大きく上回るエネルギーが迸っています。パワーUPしたのはアートワークだけじゃないですぞ、と。
レーベルからは何のサポートも得られず、鳴かず飛ばずで撃沈してしまったアルバムなれど、クオリティは(バンドが自負する通り)十二分に高い。再評価が待たれる1枚です。

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