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Loud Hailer / JEFF BECK
帰ってきたクーカイ ★★★ (2016-07-16 07:01:33)
6年ぶりの新作。
二人の若い女性アーティスト(Vo.:ロージー・ボーンズ G.:カーメン・ヴァンデンバーグ)が参加している。
全11曲中、ヴォーカルが入るのが9曲。
ガラリと変わったわけではないのだけれど、確実にリフレッシュしたジェフの音楽は、アグレッシヴな曲も収録され、前作とは異なった地平にある。
本人はギター・アルバムではなく、より普遍的なロック・アルバムを作りたかったらしいのだが、それは見事に成功している。
ロージーの声は、ジェフのギターととても相性が良い。ロージーのしゃがれた(それは場合によってはキュートにも聴こえる)声は、強烈な個性をはなっているのだが、それでも楽曲はどれもジェフ・ベックの音楽としか言いようがない。
ジェフとロージーとカーメンの3人が写っている写真を見ると、胡坐の上に大きな創作ノートを2冊広げて、歌詞を吟味しているロージーと、カウチに半ば寝そべるように座ってギターを弾くジェフ、床の上でカウチを背もたれにしてギターを弾き、ジェフの方を何とも悪戯っぽく良い笑顔で見ているカーメンがいる。
その様子は、ジェフと二人の女の子、というものでは全くない。3人の才能あるミュージシャンによる、音楽での対話と創造のシーンだ。
年季の入ったテーブルの上には2本、キャンティの栓が抜かれ、三つのワイングラスが置かれている。それぞれ半ばまでワインが注がれているが、口を湿らせた程度で、あまり飲まれていないようだ。
暖炉には火が入っている。壁際やテーブルの上に燭台が置かれ、蝋燭が灯っている。
ジェフとカーメンはリラックスしながら、部屋に漂っている音楽を捉えて紡いでいるようであり、ロージーはそれを聴きながらも意識の大半は創作ノートに集中しているようだ。
こういう光景をみると、他の誰かと何か素晴らしいもの(本作のことだが)を作るっていうのは良いな、としみじみと思う。
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