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Pangea / PARADOX
火薬バカ一代 ★★★ (2016-08-14 08:56:19)
嘗て、マイケル・シェンカーは「精神的に追い詰められた時の方が、生み出すメロディの輝きが増す」と実しやかに語られていましたが、その言を借りるならば、PARADOXのアルバムがどれも素晴らしいのは、やっぱりリーダーのチャーリー・シュタインハウアー(Vo、G)が不幸な目にばかり遭っているからでしょうか?同じドイツ人ですし…。
ってな与太話はともかく、数々の困難を乗り越えて(詳細については国内盤解説参照)リリースに漕ぎ着けた本7thアルバムは、これまでの作品同様強力な内容を誇っています。久々のコンセプト作だったり、新進気鋭のギリシャ人ギタリスト、ガス・ドラックスが新メンバーとして加わったりと、色々トピックもありますが、勇猛果敢な突撃ナンバー①の堂々たる出来栄えが宣言する通り、「PARADOX=チャーリー」の基本図式に一切のブレはなし。金属が擦り合わされるかの如き音色でソリッドに刻まれるGリフ、大馬力で疾走するリズム、硬派な哀愁背負ったメロディを武骨に歌い上げるVo…。荒ぶるパワー・サウンドに流麗な彩りを加えるガスのGプレイの素晴らしさについては、今更言及するまでもありません。
従来作に比べると、モダンな圧迫感を減じた代わりにメロディックなアプローチが試みられている印象で、(攻撃性や疾走感は保持しつつ)サビメロが雄々しくメロディアスに歌い上げられるタイプの楽曲は、HELLOWEEN登場以前の80年代独産パワーメタルに通じる味わい有り。中でも内なるメタル魂にポッと火を点される②⑨のカッコ良さは格別ですよ。
そろそろレコード会社におかれましては真剣に来日公演をご検討頂きたいところ。チャーリーの提案する「『HERESY』再現ライブ」とか、ナイス・アイデアだと思うんだけどなぁ。

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