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Eye of the Storm / THE STORM
火薬バカ一代 ★★★ (2016-09-12 21:12:18)
2曲のヒット・シングルを生んだデビュー作に続く新作レコーディングのためスタジオ入りするも、時期同じくしてグランジ/オルタナ旋風が本格的に音楽シーンを席巻。流行に擦り寄るべく所属レコード会社が方針転換を図ったせいで、完成していたにも関わらず、長らくお蔵入りの不遇を囲う羽目になった2ndアルバムがこちら。
でも内容に関しちゃ、端正な音作りから、溌剌とキャッチーに弾むポップ・フィーリング、そして胸打つ抒情メロディに至るまで、「まるでJOURNEY」なメロディアスHRの輝きに鈍りなし。ロス・ヴァロリー(B)、スティーヴ・スミス(Ds)、グレッグ・ローリー(Key)の本家JOURNEY組が醸し出す「本物」の深みと説得力を土台に、その上で707やTWO FIRESの活動等で知られるケヴィン・チャルファント(Vo)と、ニール・ショーンばりの官能的なロングトーンの使い手ジョシュ・ラモス(G)という、メロハー愛好家お馴染みの面子がエモーショナルなパフォーマンスを迸らせてくれるのですから、こんだけ高品質な作品がバンド活動停止後まで日の目を見なかったなんて、許されざる話ですよ。
と、そんな感じに褒めるべき所だらけの本作ですが、中でもケヴィン・チャルファントのVoの素晴らしさは特筆モノ。この人の声をまともに耳にしたのはTHE STORMが最初でしたが、殊に②⑩のようなバラード系の楽曲に響き渡る澄み切ったハイトーンは、己の小汚い耳垢を根こそぎ洗い流してくれるかの如き美しさ。聴く度に感涙に咽んでしまいますね。
下手にメジャーレーベルからリリースされてしまったせいで、なかなか再発がかからない1st『THE STORM』と併せて、メロディ愛好家なら避けては通れない名作ではないかと。
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