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Disturbing the Peace / ALCATRAZZ
失恋船長 ★★★ (2016-09-17 14:44:11)
グラハムと競演を果たした伏竜鳳雛と呼ぶべきか、後にギターキッズから天才ギタリスト崇められるスティーブ・ヴァイの名が広く知れ渡った事でも知られる一枚。メタルをルーツに持たないグラハムにとって曲を書ける、パートナーや正しい方向へ導くプロデューサーが必要なのですが、前作で魅せたレインボー路線のクラシカルHM/HRサウンドの革新的な響きに魅了されたファンにとっては随分とアダルトな雰囲気に包まれた今作のリアクションは悪く(メタル=スピーディーという図式を求める人達にとってはこの上なくつまらないと烙印を押される)、信じられないだろうが来日公演では演奏中にインギーコールが巻き起こったというのだから、当時、このようなサイトや書き込みがあったら事件になっていたでしょうね。
アメリカンプログレバンド『NEW ENGLAND』のメンバーと変化自在のヴァイとの多彩なプレイと楽曲の組み合わせは楽しげでもありスリリングでもある、ニコニコ笑いながら凄い事を難なくこなす、そんなミュージシャンとしての力量がメタルという狭義の中でも最大限の解釈で想像されており、聞き手の資質すらも問うような実に爽快な一枚です。
控えめだがキレのある④、ドラマ性の高い⑤など魅力的な楽曲が中盤に並び、グラハム絶品の歌声が物凄くフィットしている、その魅力が炸裂する⑨⑩の普遍的な響きたるや、ポップでキャッチーなサビをパワフルに歌い上げる⑨Another Victory♪♪だし、一曲の中に多様性がある⑩なんてインギーじゃ絶対に出てこないアイデアであり、両者の特性がぶつかり合うことなく融合を果たしている様のカッコよさには文句なしに太鼓判を押したくなりますね。
でもリアルタイムで聴いていたファンの方やインギー路線に衝撃を受けた方の戸惑いは想像以上だったでしょう。書き込まれるわぁとスッゴイ思います。時代が時代だったら悪意に埋葬されてるでしょう。
メタルをルーツに持たないグラハムがエゴを出しことも無く、またインギーを影を追わせない事で新境地を開けた革新的2nd。バラエティに富んだ楽曲の中でも①は今もって色あせる事のないジャンルを超越したロックナンバーだと個人的には思っています。

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