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Fly to the Rainbow / SCORPIONS
火薬バカ一代 ★★★ (2016-10-11 22:30:35)
基本的音楽性の確立からウルリッヒ・ロート加入まで、SCORPIONSの重要な第一歩となった’74年発表の2ndアルバム。『電撃の蠍団』なる邦題も、原題『FLY TO THE RAINBOW』もカッコイイなぁ、とか思いながらジャケットに目を転じると、そこに描かれているのは謎の怪人プロペラ男。お前が虹まで飛ぶんかい。
ウリのインプロゼーション重視のGワークがダイナミックに炸裂する③(早くもリードVoも担当しちゃってますが)、静と動を切り替えながら10分に迫る長尺をドラマティックに語り切るアルバム表題曲⑧といった楽曲や、Key、メロトロンを隠し味的に用いたアレンジ術等、デビュー作で聴かせたクラウト/プログレッシブ・ロックの残り香を随所に漂わせつつも、イマイチ掴みどころがなかった前作に対し、こっちはウリ加入により増強された「泣きメロ」という強力な武器によって、焦点がきっちり絞り込まれています。
特に、バラード調の前半をスパニッシュ・タッチのGリフが切り裂く②、東北地方を巡業している昭和の演歌歌手ばりに泣きまくる④、哀愁に満ちたメロディとスウィングするリズムのコンビネーションに惹き込まれる⑤は、捨て曲なしの本編の中にあっても一際輝く名曲。シャウトよりもムーディに歌い上げることに重点を置いたクラウス・マイネの歌唱スタイルも、この時期ならではの魅力をサウンドに付与してくれています。
ウリ在籍時代のアルバムはいずれも甲乙つけ難いクオリティを誇りますが、「一番好きなアルバムは?」と問われたならば、個人的には真っ先にその名を挙げる1枚。

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