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Taken by Force / SCORPIONS
火薬バカ一代 ★★★ (2016-10-15 09:28:02)
病気により脱退したルディ・レナーズの後任として、新たにハーマン・ラレベル(Ds)を加えた陣容でレコーディングが行われ、「墓場での銃撃戦」ジャケットが「テロを思わせる」という、殆ど難癖みたいな理由から一部地域で差し替えを余儀なくされつつも、’77年に発表された5thアルバム。(邦題は『暴虐の蠍団』)
ウルリッヒ・ロート(G)が参加した最後のスタジオ作品ということで、内容的にも(それを意識したかどうかはさておき)ウリ在籍時代のSCORPIONSを総括するかの如き充実っぷり。80年代アリーナ・ロック路線の試し打ち的なスケール感を有するOPナンバー①を皮切りに、泣いて泣いて泣き倒すドラマティックな②あり、隠れた名曲と評判の(俺の中で)④あり、若き日のイングヴェイを始め、速弾きギタリスト勢に多大なるインスピレーションを与えた⑤あり、パワー/スラッシュ系バンドが好んでカヴァーする攻撃的な⑦あり、日本人女性によるポエトリー・リーディングまでフィーチュアされた劇的な大作ナンバー⑧(てっきりウリ作曲かと思いきや違うのね)あり…といった具合に、バラエティ豊か&完成度の高い楽曲がズラリ揃う本編は、勿論捨て曲なし。そして何より今回は、長らく「クラウス・マイネを差し置いて何故歌いたがる?」とファンを訝しがらせて来た、ウリ自作自演のジミヘン・タイプの楽曲がない!(笑)
独自のサウンドを模索し、「テッペン取ったる!」とガムシャラに攻めてた従来作に比べると、本作は地歩を固め終えたバンドが、純粋に完成度を追求して作り上げたような風格が感じられる1枚。そんなわけで初期SCORPIONS入門盤に自信を持ってお薦め致します。

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