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二十世紀葬送曲 / 人間椅子
失恋船長 ★★★ (2016-10-31 14:00:21)
演奏が下手でも化粧が上手であればメジャーデビュー出来たバンドブーム(今でも演奏しなくても売れるし紅白でているから基本はかわりません。上手いとは下手はどうでもよい)そんなムーブメントを生んだ背景にはTV番組の影響があったわけですが、その権化とも言えるイカ天出身者というのが足枷となり、活動を続ける程に蝕んでいたデビュー当時のキワモノ的イメージ、分かる人にだけ分かるバンドとなり下がり、活動が定まらない彼らが1999年にリリースした渾身のアルバム。かく言うワタクシも偉そうな事を言えなくて、若い頃は、この手のバンドが大嫌いで、所謂イメージ先行、実力と人気の差が100万キロみたいなバンドが多く聴くに堪えなかったとロクに耳も傾けず先入観に凝り固まっていたのですが、90年代の半ばに普通のメタルが聴きたいなぁと思っていた時に、彼らのベストを聴いて、その先入観で聞こえてこなかったリアルな音像にノックアウト、イカ天出身と言うだけでロクに聴きもせずに舐めてごめんなさいねとなり、90年代中ごろは随分と音楽人生を振り返り見直す日々を送る事になりました。
そんな状況もあり彼らはフェバリットな存在となり随分と重宝させていただきましたが、今作は2000年を前に今までの活動を総括した内容を誇り、サバスありロバート・フィリップありの人間椅子ワールドを全開に開放しつつ、新たなる側面を綿密の盛り込んだ意欲作。日本語詩による猟奇的で奇奇怪怪な世界と人間の暗部を照らした耽美的主義、そこに絡むブリティッシュロックな響き、必然性のある濃密な世界観を大解放となっていますね。後藤マスヒロの粘りのある艶やかなドラミングと鈴木の弾力のあるベース、ミックス的に和嶋のギターは情念が薄まっている点はあるのですが、これもメジャーでの折衷案として十分理解できるし許容範囲です。やや全般的にスッキリとしたアレンジとなっているのですが、ある意味演奏もシンプルな側面を出す事で逆にエグさが倍増していたりと聴かせ方の上手いバンドだなぁと改めて思いました。
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