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IV / WINGER
失恋船長 ★★★ (2017-01-29 20:17:09)
個人的には実力派集団が売れる為のアイデアを持ちわせ結成されたバンドだと思っている。1stでは、そのアイデアを存分に反映させ売れっ子プロデューサー、ボー・ヒルの力も借り、洗練された極上のメロディックロックサウンドで多くのファンを獲得。ある意味、90年代に向けてアメリカンロックのあり方の一つを提示したバンドだと思っているのですが、その器用さが裏目に出たのか3枚目のアルバムで予想とは違う結果となり徐々に失速、シーンの新たなる潮流にも飲み込まれ解散。そして知らないうちに再結成を果たしていたのですが、今作は2006年と言う時代性を巧みに飲み込んだ大人のロックサウンドを披露。往年のヒット曲『Miles away』や『Seventeen』路線の華やかで即効性の高いロックサウンドとは違う方向性に舵を取っており、実に地に足のついたパフォーマンスで魅了、全編にわたりフックに富んだメロを歌うキップ節を堪能できる仕様にもなっていますが、手抜かりのない玄人好みのアレンジを張り巡らしたシリアスな曲調は、聴きこむほどに新しい発見もあり、実に奥深いポップロックアルバムを仕上げてきたなぁと感心しますね。
とくに⑤を初めて聴いたときはハードさと疾走感も上々に、こういう曲をやるバンドだったんだぁと驚いたものです。作風的にも古臭さは皆無、今聴いても遜色のない普遍的な音楽性は、紆余曲折を経て辿りついた等身大の姿として色あせる事無く光り輝いています。コマーシャル性を取り込みつつも緻密なアレンジが冴えわたる、緊張感溢れる作風故に、往年のシングルヒットが好みの人には辛いでしょうね。ハードな⑤、展開のある⑥、そしてシリアスなムードたっぷりのバラードタイプの⑦の流れはいつ聴いてもグッと引き寄せられますね。ヘヴィな⑨も、新生ウィンガーの魅力を雄弁に物語っていますよ。
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