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Alpha / ASIA
火薬バカ一代 ★★★ (2017-02-01 21:07:37)
ジョン・ウェットン死去の報に触れ、急きょ引っ張り出してきたASIAの2nd。様々なバンドに籍を置いてきた氏ですが、当方が彼の名を聞いて真っ先に思い浮かべるのは、やはりASIA。特に’83年発表の本作はいつ何時聴いても感動を新たにさせられるプログレ・ハードの大傑作であります。セールス面では前作に及ばなくとも、内容的には一歩も引けを取らない素晴らしさ…というか、個人的にはASIAの最高傑作と言えば断トツでこれですよ。
アルバムのキーマンは、流麗且つカラフルなKeyワークでサウンドをドラマティックに彩るジェフリー・タウンズなれど、軽やかに弾むカール・パーマーのDs、押しと引きを心得たスティーヴ・ハウのG、何よりジョン・ウェットンの包み込むようにジェントリーなVoも、唯一無二の音世界確立に欠かさざる重要な要素であったと。
中でもOPナンバー①は「3分間プログレ」と評されたASIAの神髄が頭から尻まで堪能できる名曲中の名曲。これ1曲でアルバム数枚分の価値があると断言したいぐらいなのですが、本編はこの後も、ウェットンの暖かみに溢れた歌唱が神々しく響き渡るバラード②、劇的なイントロだけで掴まれる⑤。盤を裏返したB面には、ジェフの技ありなKeyワークが冴える⑦、キビキビとハード&キャッチーな⑧、アルバムを大団円で締め括る⑩…といった具合に、マイク・ストーンの的確なプロデューシングの下、アーティスティックな拘りと、親しみ易いポップな大衆性をスムーズに同居させた名曲の大盤振る舞い。
ロジャー・ディーンの手掛けた美しいアートワークを眺めながらめくるめくASIAワールドに浸れば、聴く度に幻想の世界へと連れ去られてしまうような感覚に陥るという、全く以て脱法ドラッグいらずの1枚。

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