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7800° Fahrenheit / BON JOVI
火薬バカ一代 ★★★ (2017-02-14 23:00:06)
哀愁のアメリカンHRの理想形を提示してくれた1st『BON JOVI』と、80年代ポップ・メタルの一つの「型」を創り出し全米チャート8週連続第1位という化物セールスを記録した3rd『SLIPPERY WHEN WET』の間に挟まれ、どうにも印象の薄い’85年発表の2ndアルバム。
Keyが脇へ引いたことでプログレ・ハード的な抒情味が薄れ、代わりにリッチー・サンボラのハードなGの調べが前面に押し出されているものの、メロディのフックは次作のレベルには及んでおらず…といった具合に、いかにも過渡期な作風ゆえ日陰者な扱いを受けるのも致し方なし、か?でも個人的には本作のそうした手探り感というか、若き日のBON JOVIの試行錯誤を感じさせる部分に逆にグッと来ます。
そもそも『SLIPPERY~』のHR/HM史における重要性は認識しても、あの明るくハジけるサウンド自体には然程愛着を覚えない不届き者としては、マイナー調のメロディを纏って駆け抜けて行く②や物悲しい③をハイライトに、どちらかと言えばデビュー作に近しいスタイルの楽曲――出来・不出来に多少バラつきがみられますが――を多く収録するこちらの作品の方を、より贔屓してしまうのは仕方のない話なわけでして。
あと本作の目玉たる日本のファンに捧げられた⑥ですよ。これを名曲に分類するかどうかは意見が分かれがちですが、こちとら冒頭の拙い発音の“サクラ、サクラ”だけでもう「たまらーん!」と悶絶必至。欲を言えばここもジョンが歌ってくれてたら尚良かった(笑)。この名曲が聴けただけで本作に星3つ進呈することに躊躇はございません。
1stと併せて、初期作でのみ楽しめる「粗削りなBON JOVI」が堪能できるスルメ盤です。
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