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Is Nothing Sacred / SACRED RITE
火薬バカ一代 ★★★ (2017-03-28 23:06:55)
SACRED RITEが'86年に発表し、残念ながら最終作となってしまった3rdアルバム。(御多聞に漏れず後に再結成しますけどね)
マイケル・ウィーラン画伯の『DESTROYING ANGEL』を採用したアートワークの美麗さは、デビュー作『SACRED RITE』のクサレたイラストとは天と地ほどのレベル差で、音質の方も随分と向上しています。しかしその反面、クリーンに整頓された音作りのもと繰り出される1曲目は、大仰な雰囲気の薄れた平凡なアメリカンHMナンバー…。前2作のセールス的不振を受けて彼らもとうとう路線変更か?と、初めて聴いた時は立ち上がり早々にガックリ来た記憶あり。
でもそれはこっちの早合点だったという。2曲目の途中辺りから徐々にメロディの湿度と曲展開のドラマ性が高まり始め、シームレスに繋がる⑦⑧で本編がクライマックスを迎える頃には、その哀愁に満ちたドラマティックなHMサウンドぶりに「やっぱSACRED RITEは最高だゼ!」と、ガッツポーズを決めているという塩梅。
ただ、全体的にはヘヴィ・メタリックな荒々しさや疾走感、派手なテクニックの応酬といった要素が抑え気味なのは間違いありません。THE BEATLESの名曲“ELEANOR RIGBY”のカヴァーにも挑戦する等、今回は確かな歌唱力を有するVoを中心に、じっくりとメロディを聴かせる姿勢を全面展開。特にリード楽器の役割も果たすBを始めとする楽器陣が、ムーディな演奏で歌の引き立て役に徹する③⑧の儚く美しい哀メロは絶品ですよ。
聴き終えてみれば、決して前2作にも聴き劣りしない充実作でありました。
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