この曲を聴け! 

Paris / PARIS
帰ってきたクーカイ ★★★ (2017-04-22 16:49:57)
 PARISはフリートウッド・マックのギタリストであったロバート・ウェルチ(G.,Vo.ボブ・ウェルチ)が元ジェスロ・タルのグレン・コーニック(B,Key)、元ナッズのトム・ムーニー(Dr)と組んだトリオバンドである。
 本作は1976年1月にリリースされたデヴューアルバム。
 バンド自体は短命で、商業的な成功からもほど遠かったらしい。本作もチャートの最高位が103位という成績だったとか。日本では渋谷陽一氏がレッド・ツェッペリンに似ているということでプッシュし、そこそこ売れたらしい。

 私がこのバンドを知ったのは’80年代前半から中頃のことで、例によってFMラジオをエアチェックしている中で出会った。やっぱり”渋谷陽一氏がどうのこうの”とアナウンスされていたか、渋谷陽一氏本人がDJをつとめた番組であった可能性もある。4(5?)曲ほど(2曲目の「Religion」、3曲目の「Starcage」、7曲目の「Solitaire」、8曲目の「Breathless」は確実に、そしてもしかすると5曲目の「Nazarene」もそうだったかもしれない)オンエアされ、それを録音して聴いていた。
 当時はまだレッド・ツェッペリンを聴いていなかったので、似ていると言われても「ふ~ん。そうなんだ」という感じであったのだが、今聴くと随分似ている曲が確かにある(2曲目の「Religion」とか)。だが、それだけがこのバンドの特長ではなく、曲は全般的にスペーシーな雰囲気を多少なりとも纏い、不思議な浮遊感を感じさせる。また曲によっては後のインダストリアル・ミュージックに通ずるようなもの(「Starcage」)もあり、当時としてはかなり斬新だ。かと思うとヘヴィブルーズ調の曲(「Breathless」)も収録されており、アルバムの内容はヴァラエティに富む。

 エアチェックのテープは度々引っ越ししているうちにどこかにいってしまったのだが、PARISの音楽はたまに思い出され、気が向くと輸入盤や中古盤でないか探していた。
 すると先日のこと、2013年に発売されていたデジタル・リマスタリングされたSHM-CD仕様の再発盤を発見した。これは嬉しかった。思いもかけない時に意外な人から突然贈り物を貰ったような気分だ。
 久しぶりに(しかも良い音で)聴くと、やっぱり良い。曲は基本ハードで、歌メロもキャッチー。ブリティッシュの匂いもプンプンするし、大好きな音である。
 再発してくれたレコード会社には感謝したい。

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