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MISSION / TOSHI / TOSHI
失恋船長(2017-04-24 16:53:50)
言わずと知れたX-JAPANのシンガー、TOSHIのソロアルバム第二弾。個人的に彼にはなんの思い入れも無いのですが、参加メンバーと楽曲提供者に興味をもってかれ購入。シングルとしてリリースされていた⑦⑩はNIGHT HAWKSの青木秀一と歌えるドラマー工藤哲也、それ以外は、ほぼ国産プログレバンドVIENNAでLOUDNESS脱退後の二井原実が立ち上げたDED CHAPLINに参加していた茶々丸こと藤村幸宏、フレットレスベースを操る永井敏己、手数王と呼ばれるドラマー菅沼孝三らが全面バックアップ。藤村幸宏に関しては楽曲提供のみならずアレンジ全般に携わるなど八面六臂の大活躍、失意の中、活動休止に追いやられたDED CHAPLINの怨念を晴らすが如く自身の才能を発揮していますね。
とは言いつつも国産ロックにありがちな、ユルめのサウンドプロダクションが好悪を分ける要因の一つ、高い音をカット、ボトムは全然効いていない迫力不足の低音、歪みを完全に押さえクリアーに仕上げてはロックの持つダイナミズムは台無し、永井のエグイベースも聞こえないし、菅沼のドラムもこれでは可哀想、茶々丸のバッキングも全然聞こえない、必要以上に演奏を控えめにし歌を前に出す手法をとっており、これがメタル系だとすれば、相当厳しいサウンドプロダクションとなるでしょう。確かに彼のファンの事を考えると、ロック然としたラウドなサウンドメイクは馴染めないのは分かるが、もうちょい尖ってくんないときちぃッス。
この辺りがヴィジュアル系に通ずる脆弱なサウンドプロダクションなのですが、根本的にバックを固めるプレイヤーの質と芯の太さは桁が違うので十分ロックなモノを期待する方なら楽しめるでしょう。ソロパートでは俄然、色艶が変わりますからね。上手いって事は本当に素晴らしい。

今作最大の聴きどころは、やはり二井原実先輩が楽曲提供している2曲。オープニングの疾走感溢れるロックナンバーを二井原・マーク・フェラリー、KISSで大活躍の世界一エース・フレイリーな男トミー・セイヤーによる共作。そして⑤では二井原・マーク・フェラリー、ボブ・キューリックによる共作ナンバーが収録されており、それらの楽曲がアルバムをロックな方向性へと導いています。②はDED CHAPLINの3rdからリメイク、⑪は藤村の曲で後にVIENNAでも取り上げてましたね。
少々キーボードがうっとおしいのですが、バックのスリリングな熱演に耳が持っていかれる④、切なさ全開の⑥、一番声にフィットしているキラキラしたポップナンバー⑦、ボサノバ調の⑧などバラエティに富んだ楽曲があり、スピードを期待する人たちにとっては眠くなりますが、特に④など実質的なスピードではなく、楽曲のアレンジで疾走感を煽る手法をとっており、そのスピードの質に好みが分かれるでしょうね。所謂スピード歌謡には陥っていないです。そこが一番好感のもてる所でしょう。

主役たるTOSHIさんですが、相変わらず力むと苦しそうだし、線の細さは変わりませんが、リラックスして歌っているのが印象的でしたね。

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