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Ample Destruction / JAG PANZER
火薬バカ一代 ★★★ (2017-05-07 22:06:25)
後にSHRAPNEL RECORDSからソロ・デビューを飾るジョーイ・タフォーラ(G)が在籍していたコロラド州出身の5人組が、’84年に発表した1stアルバム。
当然ジョーイはここでも大変素晴らしい仕事ぶりを披露。もっと己の技術をひけらかして悪目立ちしているものと思いきや、エピカルな雰囲気を宿し高圧的に迫り来る正統派パワー・メタルを効果的に盛り立てるチームワーク重視のGプレイに徹しており、勿論その演奏は十分にテクニカル。ソロ作で発揮されるセンスの良さを既に垣間見せてくれるという。
しかしながら、個人的に本作の主役はバンドの中心人物たるハリー“THE TYRANT”コンクリンの存在ですよ(ちなみにTYRANTはJAG PANZER改名以前のバンド名)。TYTAN FORCEにSATAN’S HOSTにRIOT…と、一貫してUSメタル裏街道一筋に歩み続ける彼氏の必殺仕事人シンガーぶりはここでも健在です。つか「クセが強い歌声のシンガー」とのイメージがありましたけど、本作では「あ、普通に歌っても上手い人だったんだ」とこっちの認識を改めさせられる、大仰にして堂々たる歌唱を聴かせてくれていますよ。
マニア諸兄から隠れた名盤扱いされているだけあり、疾走するOPナンバー①から、7分越えのドラマティックなラス曲⑩まで捨て曲なし。中でも特筆すべきは、イントロの荒くれたGリフの刻みっぷりだけでメタル魂が燃え上がる③。ハリーのパワフルなVoと、劇的な曲展開を見事に構築する楽器陣という両者の最良の部分が抽出された名曲ではないかと。
JAG PANZER自体は離散集合を繰り返しながら現在も活動を継続している模様なれど、やはり彼らの作品で真っ先に聴くべきは本作、との意見に異議は全くございません。
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