この曲を聴け! 

Night of the Crime / ICON
火薬バカ一代 ★★★ (2017-05-29 00:35:16)
見た目も出す音も華やかなバンドが揃っていたLAメタル・シーンにおいて、ウェット且つ重厚な欧州風味の正統派HMサウンドが異彩を放ったICON、’85年発表の2ndアルバム。
クオリティは高かったものの、デビュー作がセールス的には伸び悩んだ結果を踏まえ、バンドはここで大きく音楽性を転換。曲作りにおいては外部ライターのボブ・ハリガンJr(JUDAS PRIESTとの仕事で知られる)の助力を仰ぎ、シンセサイザーやボーカル・ハーモニーを大幅増量。ポップ&メロディアス化が推進された本編は、プロデュースをエディ・クレイマー、ミックスをロン・ネヴィソンという大物が手掛けたことで一気に抜けが良くなった音作りと併せて、グッと大人びて洗練された風格を身に纏うようになりました。
“聖なる咆哮”とか“美しき聖像破壊者達”とか、大仰な邦題が似合うメタリックな雰囲気は大きく後退するも、派手さを抑えてミディアム・テンポ主体で攻めて来るリズム、テクニカルなだけでなく仕事ぶりも的確なツインG、そして前作最大の弱点とも言えた「雑さ」が解消され、丁寧且つ伸びやかに哀愁のメロディを歌い上げる飛躍的成長っぷりが頼もしいVoがフィーチュアされた収録曲は、ロマンティックな哀メロがキュンと胸を締め付ける⑨を始め、キャッチーな秀曲が揃っていてクオリティ面において盤石。特にスペーシーなシンセのイントロからスタートする重厚な⑤は、物悲しいメロディと、HMバンドとしてのエッジの鋭さを併せ持つICON屈指の名曲ではないかと。
ことほど左様に、これをバンドの最高傑作に推す声が多いのも確かに納得がいく1枚。にも関わらず本作がセールス的には惨敗だったという現実の方が納得いかんのですよ。

→同意