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Menace to Society / LIZZY BORDEN
火薬バカ一代 ★★★ (2017-07-27 23:32:21)
リジー・ボーデン(Vo)率いるバンドが’86年に発表した2ndフル。雑誌レビューの高評価に後押しされ、初めて購入した彼らのアルバムだったと記憶しますが、事前に伝え聞いていた情報の数々――曰く、リジーさんが提唱する「サイコ・ロック」に、それを実践するための派手なビジュアル&シアトリカルなライブ・パフォーマンスetc.――こりゃきっとKING DIAMONDばりにオドロオドロしいホラーなメタルが聴けるに違いありませんな!と、ニヤニヤ気色悪い笑み浮かべつつ作品を再生してみたら、妙にアッパーなOPナンバー①が終わった時点で「あの…コレ思ってた音と全然違うんスけど」と呟いてしまいましたよ。
いや確かに歌詞のテーマは「暴力」や「恐怖」ですし、甲高いハイトーンを活かして歌いまくるリジーのVoや、切っ先鋭い2本のGによるハーモニーが散りばめられたアグレッシブ且つ疾走感に溢れたサウンドは、紛うかたなき正統派HMスタイルではあるのですが。湿った泣きや哀愁よりも、カラッと豪快な抜けの良さが勝る作風は、例えばKING DIAMONDが思わずゾッとする心霊/オカルト系ホラーなら、こっちは血がブーブー飛び散る様がいっそキッチュな、皆でワイワイ楽しむ陽性スプラッター・ホラーの趣きという。
まぁそれが分かってしまえば、なぜだか『北斗の拳』主題歌を思い出した②、ツインGがシャープに暴れ回るイントロだけで名曲確定な⑤を始め、「これはこれでOK!」と。イントロから泣きまくりのバラード③、物騒なタイトルに反して哀愁を帯びたツインGが映える⑥、本編終盤を劇的に盛り上げる⑨のようなタイプもしっかりと収録されていますし。
当サイト登録のLIZZY BORDEN作品の中で、一番人気なのも納得の1枚ですよ。

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