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Song of Silence / STARLESS
火薬バカ一代 ★★ (2017-09-19 23:51:48)
元SCHEHELAZADE(祝・復活)の大久保寿太郎(B)率いる大阪の6人組。1st『銀の翼』で日本のプログレ・シーンにその名を刻んだSTARLESS、’91年発表の2ndアルバム。
弦楽器隊以外のメンバーが交代していますが(③⑩にはGERALDの永川敏郎がKey奏者として参加)、新たに加わった女性Voが前任者とよく似た声質の持ち主で、その他の面子もプログレ畑のミュージシャンらしく腕利き揃い。ゆえに不安定さは微塵も感じさせない上、何より冒頭から組曲形式で優美に展開していく①②③の流れや、序曲①で用いられたメロディが本編最後の⑩でアウトロの役割も果たす円環構造等からも明らかな通り、リリカルでファンタジックなプログレ・サウンドは、前作の延長戦上にきっちり位置付けられています。
バンド名から想起されるようなKING CRIMSON的前衛性/実験精神よりも、楽曲をキャッチーにまとめ上げることに注力した曲作りのスタイルも不変…というか、むしろ今回は更にポップでメロディアスな方向に踏み込んでいる印象で、曲よってはVoの砂糖菓子の如く甘い歌声と相俟って、アイドル歌謡や昭和の女児向けアニメの主題歌を聴いているような気分に陥ることもしばしばという。デビュー作収録の名曲“BREATH”のようなハード・ナンバーが見当たらない点を含め、評価が割れる可能性が考えられますが、それでもドラマティックに駆け抜ける③や、歌うG、流麗なKey、更には「STARLESS」の名に相応しくサックスまで伴って、総力戦の様相を呈するアルバム表題曲⑩等、優れた楽曲の数々はやはり十分過ぎる程に魅力的。
1st『銀の翼』が気に入られた方なら、こちらもマスト・アイテムではないかと。
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