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Mekong Delta / MEKONG DELTA
火薬バカ一代 ★★ (2017-09-25 23:04:55)
ライブは一切行わず、プロモーション活動にも消極的と、デビュー当初「謎の覆面バンド」扱いされていたドイツのテクニカル・スラッシャー、’87年発表の1st。今となっては、AVENGER(RAGEの前身)の面々と、バンドのエンジニアだったラルフ・ヒューベルト(B)がMETALLICAの登場に触発され立ち上げたプロジェクトだったことは広く知られた話。本作はピーヴィ・ワグナーが抜けた代わりにLIVING DEATHのGチームが加入し、ラルフ以下、ヨルグ・マイケル(Ds)、ライナー・ケルヒ(G)、フランク・フリッケ(G)、ウルフガング・ボーグマン(Vo)というラインナップでレコーディングが行われました。
そのせいか、鋭利なGリフの切れ味はLIVING DEATH風、クセの強いVoは初期RAGE調(歌メロはピーヴィ在籍時に書かれたものだとか?)で、曲によってはKeyを用いて禍々しいスロー・チューンやクラシックのカヴァー(組曲『展覧会の絵』から抜粋)にチャレンジする等、旺盛な実験精神が迸る曲展開/アレンジはラルフの嗜好が反映…といった具合に、バンドの実体が分かった上で本作を聴き返すと、関わったメンバーの個性が強く刻まれている仕上がりなことが分かります。
MEKONG DELTAの最高傑作とされる3rd『THE PRINCIPLE OF DOUBT』以降のアルバムに比べると、複雑怪奇な難解さよりも「独産スラッシャーたるもの突っ走ってナンボ」という実に分かり易い初期衝動の方が勝っていて、低偏差値ボンクラ・メタラーにも非常に取っ付き易く感じられたという。アホみたいにハイテンションな⑤とか非常に良いですよ。
中古でなら、2ndとカップリング仕様の便利なテイチク盤が購入可能ですのでお勧めです。

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