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Dangerous Attraction / LION
火薬バカ一代 ★★★ (2017-10-29 00:43:03)
不幸の波状攻撃に翻弄されながらも立ち向かう、大映ドラマのヒロインばりに健気な姿(?)が日本のHR/HMファンの胸を打ったBIG IN JAPAN筆頭LION、'87年発表の1stフル。(国内盤は『宿命の砦』なる副題あり)
とは言え、彼らが判官びいきのみで人気を集めたわけじゃないことは、タレント揃いのメンバーと、彼らによってクリエイトされる高品質な楽曲の数々からも明らか。元TYTANの英国人シンガー、カル・スワン(Vo)の情念迸るディープ・ボイスを活かしたサウンドは、基本的にはWHITESNAKE辺りからの影響を伺わせるヒンヤリとした哀感を身に纏うブリティッシュHMなのですが、そこにメタリックなエッジの鋭さや、ライブでの大合唱を誘うキャッチーなコーラス・ワーク、そして若きギター・ヒーロー、ダグ・アルドリッジのフラッシーなGプレイといった、LAメタル仕込みの華やかなエッセンスが加わることで、英米混合バンドたるLIONならではの個性が眩い輝きを放ちます。
特にアップテンポのHMナンバー④は必殺の名曲。今は亡き日曜洋画劇場で繰り返し放送されていたB級アクション映画『処刑ライダー』劇中歌で、LIONの存在なんぞまるで知らなかった時分から「イカス曲だなぁ!」と痺れまくっていただけに、これが彼らの手による楽曲だったと知った時は感激もひとしおでしたよ。他にも重厚な②、バンドの代表曲のリメイク⑥、ブリティッシュ・ボイスが冴え渡る⑦、本編ラストをアグレッシブに締め括る⑨と、収録曲はどれも逸品ぞろい。いや、もしかすると今日びの若いリスナーには地味に響くやもしれませんが、そこで手放なすのはぐっと堪えて、もう数年熟成させた後で改めて聴き直してみると、芳醇な味わいに気付いてガツンとやられることも案外あるのではないかと。

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