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No More Color / CORONER
火薬バカ一代 ★★★ (2017-11-15 23:32:47)
スイスの技巧派トリオが'89年に発表し、リアル・タイムで初めて聴いた彼らの作品となった3rdアルバム。ちなみにCORONER作品ジャケットに毎回印刷されている黒塗り模様は、日本盤の「帯」にインスパイアされたデザインなのだというプチトリビア。
ジャズの素養を持ち、トリッキーなリフを刻む一方でネオ・クラシカルなメロディも流麗に紡ぐG、変拍子と起伏だらけの曲展開を一部の隙もなく支え、実はリード楽器の役割を果たしているDs、そのGとDs両方に寄り添い変幻自在に動き回るBと、当時最上クラスの技量を誇る楽器陣が、さながら暴風の如く猛威を振るうインテレクチュアル・スラッシュ・メタルに、聴き手はただただ濁流に飲まれた木の葉のように翻弄されるのみ。
スラッシーなアグレッション以上に、研ぎ澄まされたメンバー間のテクニカルな応酬にサウンドの焦点が絞られた今作は、発表時は「テクニカル・メタル方面に突き抜けたCELTIC FROST」とも、「スイスのWATCHTOWER」とも評されましたが、今聴き直すと、複雑精緻に編まれたアンサンブルの中で欧州的ダークネスと耽美性を宿したメロディ・センスが鮮烈に息衝く様からは、DEATHの名作『INDIVIDUAL THOUGHT PATTERNS』に通じる激と情のドラマが感じられたり。特に全楽器が爆発的に疾走した瞬間アドレナリンが噴出する③、劇的なイントロだけでその名曲っぷりを確信させられる④はアルバムの白眉。
物凄い音数が詰め込まれ/荒れ狂うサウンドはお世辞にもキャッチーとは言い難いものの、孤高のインテレクチュアル・スラッシュ・メタル・スタイルが極まったCORONERの代表作として、間違いなく一聴の価値がある名盤ではないかと。

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