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Punishment for Decadence / CORONER
火薬バカ一代 ★★★ (2017-11-13 23:02:11)
オーギュスト・ロダンの代表作『地獄の門』(の一部)がアートワークにあしらわれている、スイスのスラッシュ・メタル・トリオ、’88年発表の2ndアルバム。
高度な演奏技術が狂い咲く、複雑精緻な構築美を有するサウンドはMEGADETHやWATCHTOWER等に通じるインテレクチュアル・スラッシュ(当時はテクノ・スラッシュとも)で括られるスタイルながら、そこに師匠筋であるCELTIC FROSTから受け継いだ禍々しい暗黒色のトーンと、欧州HM流の美意識に裏打ちされた抒情メロディが組み合わさることで、他に類を見ないCORONER独自の音楽性が屹立。
Voの不在を埋めるようにGが歌いまくるネオクラ路線のインスト曲④、爆発を繰り返しながら終局へ向かって昇り詰めていく⑤、メロディック・ブラック・メタルを先取りしてしまったような⑧、ジミヘンの代表曲“紫の煙”をCORONER流にカヴァーしてみせた⑩…といった優れた楽曲の数々が並ぶ本編は、次作『NO MORE~』で頂点に達する(そして4th『MENTAL VORTEX』以降は逆に抑え気味になっていく)テクニック至上主義と、ユーロ・スラッシュならではのダークネスや攻撃性が、グッとくる適切なバランスで組み上げられています。安易に大作主義に走らず、楽曲をタイトにまとめ上げる姿勢も好印象ですよ。
スラッシュ・メタル愛好家にはまず本作をお薦めしたい次第。…というか、本作と次作がカップリング仕様のお得な日本盤を買うのが最良の道ですわな。
マイケル・アモットがCORONERの存在にインスパイアされたことを公言しているのは納得ですし、最近のバンドならVEKTORとかも彼らの存在抜きには語れませんよねと。

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