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Master of Disguise / LIZZY BORDEN
火薬バカ一代 ★★ (2017-12-23 09:54:03)
「そしてリジーだけが残った」プロジェクト状態で、多数のゲスト・ミュージシャンを迎えてレコーディング作業が行われ、'89年に発表された4thアルバム。
といっても基本的にリジーが健在ならそれでバンドは問題なく回っていくわけで、ここでプレイされているのは、旧作の延長線上にある正統派HM。但しサウンドの主役たる彼のVoが、ヒステリックなハイトーンを封印して無理のない音域での歌唱(ちょっとオジー風)に終始していること、疾走感を抑えてハーモニー重視の楽曲等とが相俟って、全体から受ける印象はかなりマイルド。KISS+ALICE COOPERなコンセプト・アルバムということで、オーケストラからホーン、クラシカルなメロディの導入、更にはSEや小曲で各曲間を繋いだりと様々な仕掛けが施されていますが、重厚感やドラマ性よりも、ゴージャス感や足取りの軽やかさ(ポップさ)の印象が勝る本作は、むしろ「ミュージカル・アルバム」と評した方がしっくり来る感じです。ぶっちゃけ、グレゴリー・チャールズ・ハージスというミュージシャンが、「リジー・ボーデン」という、ある種イメージを限定しかねない己の芸名を重荷に感じ始めていることが伝わって来る内容であるという。
それでも、ツインGの活躍も聴きモノなスケールの大きなOPナンバー①や、初期オジー・オズボーン風の大仰さを有した⑧、本編唯一の疾走ナンバーとして気を吐く⑩等、質の高い楽曲を多数収録している辺りは流石ですし、LIZZY BORDENの取り敢えずの最終作(21世紀に入って復活を果たす)としての役割を担うに相応しいクオリティを有した1枚ではないでしょうか。

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