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Sandrose / SANDROSE
火薬バカ一代 ★★★ (2017-12-10 23:32:01)
紅一点の女性シンガー、ローズ・ポドウォイニーを擁するフレンチ・プログレッシブ・ロック・グループが'72年に残した唯一作。
歌詞は全曲英詞で、サウンドの基軸を成すのは、妖艶な歌唱から感極まったような「泣き」の入った熱唱まで、パンチの効いた歌声が耳惹くローズ嬢のVoと、ジャン・ピエール・アラルサンの繊細さと豪胆さを併せ持つ変幻自在のGワーク。そこに全編を抒情的に包み込むオルガンやメロトロンの幽玄な旋律が絡み、2~3分台の美しい小曲と、10分以上に及ぶドラマティックな大作曲が交互に配置される等、非常に分かり易くKING CRIMSONやGENESIS辺りに通じるプログレ・スタイルが提示されています。フレンチ・バンドらしいメランコリックな泣き――少年漫画や劇画チックな滂沱の如く溢れる熱い滝涙ではなく、キラキラ光りながら零れ落ちていくような少女漫画ライクな感傷的な泣き――のメロディを前面に配した実験精神控えめの姿勢も、ボンクラ・メタル野郎には非常に入り込み易くてありがたいという。
どこかエキゾチックな響きを湛えたG、パッション溢れるVo、幻想的なオルガンとが、テンション高め合いながらじわじわ盛り上がる①、一転して包み込むようにしっとり聴かせるバラード②、G主導で劇的に展開していく大作③、今にも泣き出さんばかりの勢いのVoとGがエモーショナルに溢れ出す④…といった具合に、本作は終盤に置かれたジャジーでスリリングなHRインスト・ナンバー⑦まで、頭から順に1曲ずつ語れてしまうぐらい秀曲が揃っています。リー・ドリアンでなくても、これ1枚切りで解散してしまったことを惜しみたくなる1枚。
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