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Moscow Calling / GORKY PARK
火薬バカ一代 ★★ (2018-01-15 23:17:30)
裏ジャケを飾るメンバーの格好が、旧ソ連時代だったらシベリア収容所送りは確実なアメリカナイズっぷりで笑ってしまった2nd(右端メンバーの「裸にオーバーオール」という攻め過ぎな服装に“WIND OF CHANGE”を感じずにはいられません)。発表のタイミングがソ連邦崩壊に伴う東西冷戦の終結と、その後起こった湾岸戦争でアメリカを始めとする西側諸国の注目が中東に向いていた時期だったせいか、アルバムは殆ど話題になることなく撃沈。中には「え?2ndあったの?」なんて認識の人もいるぐらい不遇の1枚であります。
ケヴィン・ビーミッシュが手掛けた洗練されたプロダクション、バンドのアレンジ力、更には豪華なゲスト・ミュージシャンの顔触れ等、アルバムは彼らがアメリカ滞在で積み上げた経験値がしっかりと反映された仕上がり。その反面LAレコーディングということで「あれもこれも試したい」と少々はしゃぎ過ぎたのか、全体的に少々オーバー・プロデュース気味。メロディよりも聴き手をノらせるリズム重視の曲作りの方向性とも相俟ってHR/HM色は減衰傾向が見受けられます。何より“MY GENERATION”級のキメ曲の不在が痛かった。
ただ、それでも時折零れ落ちるメロディ(特にサビメロ)の煌めきは相変わらずロシアのバンドらしい魅力を秘めていて、“BANG”の流れを汲む①の雄大なシベリア大陸を幻視してしまうスケール感や、美しいバラード⑤⑨が伝える冷ややかな感触はこのバンドならでは。
話題となった前作から間を空けずに、あと1、2年早く発表されていれば、アメリカで好成績を残せた可能性もあったのではないか?と思わされる1枚。
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